墓じまいの要因
今あるお墓の管理・維持が困難になり、ご遺骨を新しい場所に移すために、墓石を解体・撤去し、更地にして管理者(寺、運営会社、自治体)に使用権を返還することを墓じまいと言います。


一般的に墓を建てている土地は、墓地・霊園・寺院などの運営者の所有地となるため、墓の購入者には土地の所有権はありません。つまり、土地を借用している(使用権を購入している)に過ぎないのです。
そのため、土地の管理料が支払えなくなれば、一定期間を置いて墓の使用権が取り消され、他の人に譲渡されていくことになります。
永代供養墓の仕組み
永代供養墓は、永久的に墓の管理を担ってくれるのでお墓も存在し続けるというイメージがあります。しかし現実は、13年、17年、33年、50年、60年など寺院・霊園によって永代供養墓の規定期間が通常あります。
その規定期間が経過すると、共同墓地に移動し、他人の遺骨と一緒に合祀(ごうし)されるケースがほとんどです。供養塔・合祀墓の永代供養では、遺骨を取り出せないことや、先祖史が絶えるというというデメリットもあります。

近年の少子化で、永代供養墓のある寺院・霊園が統合・消滅する場合もあります。そのため公営霊園は、永代供養墓を建立する選択肢として人気があります。
墓じまいの方法
墓石の処分から使用権の返還まで、墓の管理者との交渉・墓地を更地に戻す工事・行政手続が必要となります。
〈手続きの流れ〉
- 関係者への相談:親族やお寺の住職にその旨を相談し、理解を得る
- 新しい納骨先をを確保する(樹木葬・合同墓・納骨堂・散骨・自宅墓など)
- 改葬許可証を用意し、改葬先の霊園や寺院に提出する
〈書類関連〉
- 移転元の寺院・役所より「埋葬許可証」を入手
- 改葬先の霊園から『受入証明書』を入手
墓じまいの費用
墓じまいの費用は、全国平均で30〜110万円程度です。この大きな変動要因は、お墓の移転先と撤去費用です。特に移転先は多くの選択肢があるため、お墓じまい業者は移転先をパッケージで勧めます。
まとめ
従来、お墓じまいには合同墓が一般的でした。しかし近年は、樹木葬・納骨堂という遺骨の移転先が人気です。また、手続きがかんたんな、自然散骨や自宅墓も、たくさんの方々がコスト面の理由からも利用されるようになりました。



今、お墓じまいの形は、様々なニーズに合わせて新しい形に変わっています。墓じまいで遺骨を移すことは、無縁墓にしない、継承者への思いやりと、先祖や故人への敬意を払う儀式となってきています。