遺品整理での写真デジタル化について
処分に躊躇する遺品整理での写真アルバムですが、近年では保管スペースの有効活用、保存や共有の手軽さからデジタル化が人気です。 生前であれば、写真のデジタル化は、大切な写真、ビデオ、家系図、人生史などとしてご家族に残すことができます。
デジタル化した写真は、いずれ訪れるかもしれない “介護” や “もしもの時” の回想セラピーや家族コミュニケーションに、葬儀の遺影などにも活用できます。
写真のデジタル化メリット
古いアルバムやプリント写真をデジタル化して保存することは、それぞれ遺品整理・生前整理時に下記のメリットがあります。
<遺品整理>
- アルバム保管のスペースの有効活用
- 遺族との共有がSNSなどを利用して可能
- 家系図や人生史の素材として利用可能
<生前整理>
- 大切な思い出を残す
万一の火災・災害に備え、色褪せやカビによる劣化対策、お子さんやお孫さんに引き継ぐ思い出 - 楽しみ方が広がる
思い出の自分史づくり、家系図作成、SNSなどでの活用 - 部屋がすっきり
アルバムが占有していたスペースの有効活用、不要なものを整理、両親や祖父母の遺品整理
4社の比較
自分で時間と道具を揃えてデジタル化することも可能です。グーグルフォト、写真スキャナー(FF680Wをテスト)などデジタル化の取り込みはツールを用意すれば、写真サイズや写真台紙などに合わせて数日の作業でデジタル化が可能です。
写真のデジタル化のために時間・設備の投資をしても使用頻度が低い人は、写真のデジタル化を行う業者に依頼することも容易です。多少の写真選び、箱づめは必要ですが、写真の整理・デジタル化・保存先などを提供してくれます。
写真のデジタル化4社を比較
※ 2022年の現在、写真一枚単価はカメラのキタムラでA4までなら基本料金550円(税込)、1枚110円(税込)となっています。安価なサービスでは1枚数十円の単価で利用可能で、通常はアルバム・ポケットアルバム・バラ写真など全てで量にもよりますが仕分けしないと平均5万円程度かかります。
業者依頼のポイント
1. 事前仕分けをすると費用は安くなる
写真仕分けのポイントは、1) 冠婚葬祭の写真や複数人の親族が写っているもの、2)人が写っているもの 3)同じような写真は1枚だけ
2. デジタル写真の保存先を選ぶ
若いスマホ世代と共有するのであればクラウドストレージに保存。家族や生前に親交のあった親族とSNS(LINEやフェイスブックなど)で共有できます
3. 写真の処分
デジタル化後のアルバムの処分に抵抗がある場合、お焚き上げ(神社やお寺などで供養し焼却)します。遺品整理業者で利用できるので問合せてみましょう
デジタル写真の保存先
近年のスマホの普及で、子供や孫の若い世代はデジタル化した写真閲覧はスマホかコンピューターです。最近では自宅にDVDやCDの再生装置がない、スマホなどで簡単に共有閲覧できない、また災害などの際に焼失・紛失してしまう、などの理由から保存先にクラウドストレージを利用することが多くなっています。
クラウドストレージのサービスはいくつもありますが、写真を残された家族が活用でき、保管管理などで迷惑が掛からないよう選びます。
デジタル写真の保存先(クラウドストレージ)を選ぶ
写真保存ができる大手のクラウドストレージは4つです。
いずれも、電子メールによるアカウント登録で無料から使用でき、多くの利用者がいるため国内だけでなく国外でも閲覧共有などが可能です。この中で、スマホとの自動連係を考えるとグーグルフォト、iCloud のいずれかになります。(どちらも使用する容量により有料となる)
さらに、デジタル化した写真の整理に使いたい方は、検索機能(AIでいつ、どこで、などを分類)が優れているグーグルフォトが良いでしょう。
※ これらクラウドストレージは、故人がアカウントを作成することができないので遺族の代表が管理を代行する必要があります
遺品用の保存先
欧米での活用が盛んな、故人用のウェブサイト(想いでサイト)がデジタル化した写真の保存先となります。一般的なクラウドストレージは、遺族の管理代行者の写真管理機能に優れている反面、この故人専用クラウドストレージは、遺族の管理代行者が不在でも永代保存・共有などができることが特徴です。(一般的な使い方は、業者などがグーグルフォトなどに保存した写真から選定して想いでサイトに投稿保管)
<特徴>
- 石材店・寺院などがお墓と共に管理している場合は永代保存が可能
- お墓や仏壇などに想いでサイトのQRコード追加でその場で思い出の写真を閲覧可
- 無料版は写真保存枚数が3枚程度なので、無制限保存ができる有料版に切り替える必要がある
まとめ
デジタル化して次世代に残す写真は活用してもらえるでしょうか?
古い写真は人の心を響かせ、そのときには気づかなかった感情を思い出したり、故人の人生を説明するのに必要なものを与えてくれます。また、故人について家族と話す場ができることで、その人生の振り返りかえり、未来につなげるという機会ができることを願って、写真をデジタル化して残すという考えの人が多くなっています。
※心理学者である米国エモリ―大学の研究によると、「家族の写真は、時間の経過とともに子供たちが自身を誰であるかを理解するのに役立ちます」と述べています。また、家族についてより多くの話を知っている若者は、「より高いレベルの感情的な幸福と、より高いレベルの自主性」を示します。(オンラインジャーナルオブファミリーライフに掲載)
デジタル化された写真はスマホの出現により保存・共有という部分で、従来の写真プリントより優れています。介護の際には会話による記憶の思いだし療法での活用、また、葬儀の際には残された方が、あわあだしく準備をする中で多くの写真から遺影写真を選ぶ作業を軽減し、その時間を故人と寄り添うなど、ご家族との素晴らしい思い出の遺産となる可能性があります。