墓マイラー冒険:歴史墓で触れる日本の文化

故人を追慕し時代々々の世相にふれながら墓所を探るのは愉しい事である。偶々人が気づかなかつたのを見出した時の忝なさは、探墓を経験した人のみがしる怡びである。また此処にある筈のが失はれてゐた時などは、僅に遺る故人の忍草が根こそぎ枯れた思ひで、何物にも譬へがたい寂しさに陥るのであつた……— 『東京掃苔録』序文