墓埋法7条を遵守する「墓地台帳」作成ガイド

墓地や納骨堂の管理者は「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)第7条」により、墓地台帳を必ず備え付けておかなければならないと定められています 。

寺院・霊園管理の台帳データ

近年では、東京都など、毎月の埋葬・火葬状況の報告を義務付けている自治体もあり、チェックの目が厳しくなっている墓地台帳です 台帳がなかったり、記載が不十分だったり、紛失したりした場合には、以下のような厳しい行政処分を受ける可能性があります 。

  1. 行政指導: 役所からの是正指示を受けることがあります 
  2. 改善命令: 法的な行政処分として改善を命じられます 
  3. 許可の取消・使用停止: 命令に従わない場合、墓地の運営ができなくなります 

墓埋法 第7条(帳簿の記載事項)

分類 必須記載事項
1. 墓地使用者等の情報
住所、氏名
2. 埋葬・埋蔵された方の情報
本籍、住所、氏名、性別、死亡年月日、埋葬・埋蔵または収蔵の年月日
3. 改葬(遺骨の移転)に関する事項

改葬許可を受けた者の情報(住所、氏名、続柄など)、改葬の場所、改葬の年月日

(自治体によって追加)
  1. 連絡先: 墓地使用者や承継者(後継者)の電話番号緊急連絡先
  2. 承継関係: 墓地使用権の承継(引き継ぎ)に関する詳細な記録
  3. 届出番号: 改葬許可証や火葬許可証の発行番号など、事務処理上の管理番号。

納骨堂(合葬埋葬)では個別の区画情報ではなく、合葬された場所の情報が記録されます。また、一定期間個別に安置された後で合葬される永代供養墓の場合は、その個別安置期間の終了日合葬に移行した年月日などを追加で記録することも可能になります。

遺骨QRコードの活用:東京都の一部地域での条例施行細則には、無縁の焼骨を発掘し収容した際は、以下の事項を容器に記載するよう規定に対応。(管理者が備え付ける帳簿への記載にも影響する可能性が)(死亡者の氏名、死亡年月日、改葬年月日、その他必要な事項)

台帳管理の問題点

多くの寺院や霊園では、一昔前の「墓地管理ソフト」が使われていたり、エクセルなどを利用した紙の台帳管理も残っています。しかし、これらには下記の問題があります。

  • クラウド化されていない 地震や災害でシステムが壊れたらデータが消える、霊園内リモートで確認できないといったリスクがあります。
  • データがバラバラ 「台帳」だけで独立しており、法要などの「供養情報」、遺骨の正確な「場所管理」、遺族との「連絡履歴」が連携できていません。
  • 無縁仏・無縁墓への対応不足 身元不明者(行旅死亡人)や生活保護受給者の埋葬など、複雑な法的背景を持つご遺体の記録 を正しく管理できる仕組み、無縁墓もしくは予備軍の管理体制が整っていません。

処分・指導の発生タイミング

  1. 新規・変更許可申請時: 新たな墓地・納骨堂の許可申請時や、管理者の変更時などに、管理体制全般のチェックの一環として行われます。
  2. 苦情・通報があった際: 帳簿の記録内容や管理方法について、墓地利用者などから苦情や情報提供があった場合、行政が立ち入り調査を行います。
  3. 任意の立入検査: 厚生労働省の指針でも、強制力はないものの、経営者の協力が得られる場合の任意の立入検査の活用が推奨されています。

クラウド化で手軽に始める次世代管理

「システム導入は高額で難しい」というイメージは、もう過去のものです。昨今ではクラウド技術の進展により、初期投資を数十万円程度に抑えて利用できる「クラウド霊園管理システム」が登場しています。これにより、小規模な寺院や霊園でも手軽にデジタル化への一歩を踏み出すことが可能になりました

これからの管理に求められるのは、バラバラだった情報を一つに繋げるデータベース化です。クラウドシステムを活用することで、以下のような業務効率の飛躍的な向上が期待できます。

  • 人物と場所をセットで管理 故人のプロフィール(氏名・戒名・命日・享年)と、お墓の具体的な場所(区画ID・地図・区画場所)を完全に連動させることができます

  • 写真や音声・ビジュアルデータの保存 文字情報だけでなく、遺影写真や墓所の現況写真、さらには読経の音声データや背景画像なども故人ごとに保存可能です

  • 確実な契約・事務管理 契約者の住所変更履歴はもちろん、埋葬時の火葬許可証や改葬許可証の「届出番号」なども一目で把握でき、事務ミスを防ぎます

  • 供養情報の管理・継承 ご遺族の供養データをデジタル化することで、紙だけでなく「デジタルでのコミュニケーション」が可能になります。「無縁墓の連絡」「法事の案内」「お知らせ」を正確に案内できるようになります。

高価で使いにくい専用ソフトではなく、汎用性が高く安価なクラウド型データベースを活用することは、管理者の負担を減らすだけでなく、大切な故人を守り続けるための最も賢い選択と言えるでしょう。

まとめ

墓地台帳の管理は、ご遺族との信頼関係を守るだけでなく、寺院・霊園という組織を法律違反から守る「防波堤」です。紙や古いシステムでの管理に不安を感じている方は、この機会に「墓埋法第7条」に完全対応した、次世代の管理体制を検討してみませんか。

※ 本記事に関するお問い合わせ: 「今の台帳が法律に合っているか不安」「システム化したいがITが苦手」という方向けに、無料相談を受け付けております。